こんにちは!
ケイズハウス所属テニス選手の市川誠一郎です!
前回に続いて、ヨーロッパを拠点に選手活動している僕が、ヨーロッパ移住の方法について書いていきます。
今回はオランダでの個人事業主ビザの取得方法です。
オランダは日本人にとってすごく暮らしやすくおすすめできる国で、しかも日本人がビザ取得しやすい国と書きましたが、それでもやはりビザを取得するにはそれなりの労力がかかります。
前回記事↓
僕の場合は本当に幸運なことに、知り合いの繋がりで住む場所やビザの取得の手続きを相当手伝ってもらうことができ、
最初から住む場所があったり、こうした助けのお陰で選手活動をしながら日本に帰らずにビザ取得することができましたが、
全て自分で行う場合も大変なのは殆ど最初のステップだけです。
多くの方がビザ取得するのを見ましたが、
一旦やろうと決心して、最初の戸籍謄本の取得や住所の取得を越えれば、そこから先はすんなりと進んでいきます。
ビザ取得自体は最初を越えれば簡単ですが、とにかく待つ時間が長かったです。
役所の仕事は非常に遅く、ビザ取得の殆どは待ち時間と言っても過言ではありません。
前回の投稿で、ビザが取得できればシェンゲン協定内のどの国にも滞在できると書きましたが、逆に言うとビザ取得が完了するまではどこにも行けません。
取得まで通常3ヶ月以上の時間がかかり、途中で一つ二つ手違いがあっただけで取得まで半年近い時間がかかります。
ビザなし滞在期限も越えてしまうため、ビザが取得できるまではオランダを出づらくなります(国境を越えた時にオーバーステイ問題が起こる)。
そのためビザ取得には時間の余裕を持ちましょう。
※僕がビザを取得したのはコロナ禍2021年で、特に時間がかかりました。現在待ち時間は緩和改善されている可能性があります。
急ぐ方は、日本を出発するかなり前の段階で市役所と移民局のオンライン予約をすることを強く勧めます。
特に市役所の予約は特に重要なので是非先に予約しておきましょう。
市役所の日程を先にしておくと良いです。
経済的に余裕のある方はビザ取得を代行してくれる業者がありますので、頼めば遥かに楽です。
では、細かいことは色々あるのですが、まず先に重要なことを言っておきます。
長期ビザ取得での最初にして最大のポイント。
それは住所の取得です。
それに尽きます。
住所がないと市役所の申請も何もできません。
逆に、思い切って決断してアパートを借りてしまい契約書類を手に入れれば、残ったステップはなんとかなります。
何事も一番大変なのは、最初に決断して思い切って行動することです。
オランダ、特にアムステルダムでなどの大都市では深刻なアパート不足の問題があり、
現地学生ですら物件が借りられず、何ヶ月もホテル暮らしでホームレスをしている人がいました。
一つの物件に何百件も問い合わせがあり、倍率100倍以上の争いがあるそうです。
アムステルダムに関しては、日本人が1万人近く住んでいるアムステルフェーンというエリアがあり、日本人向けの不動産屋さんもあります。
またオランダ掲示板という日本人向けのウェブサイトがあり、ここでも物件の掲示がされています。
こうした情報は日本人向けであることが多く、先ほど書いたような極端なアパート争奪競争にはなっていないことが多いと思われます。
日本人コミュニティを使ったり、それを起点に情報収集することで最初のアパートは見つけやすくなるでしょう。
また実際にアパートを借りなくても、役所に申請するために住所だけ使わせてもらう形態の契約もあるようです。
アムステルダムのアパートは高いです。
2023年現在、学生しか住めない学生寮などすら月350-400ユーロ程度かかり、
通常のアパートはシェアでも700ユーロくらいはかかるそうです。
1人で住めば、1500ユーロくらいかかるかもしれません。
人のツテなどがない場合、最初に得られる情報も限られていて、十分下見して理想の物件を探すという探し方は難しく、いずれにせよオンラインで争奪戦、ほぼ即決する形になります。まずは適度なアパートを見つけ、その後生活をしているうちに良い物件があれば移るという方法を勧めます。
まずは日本にいるうちにアパートを探してみましょう!
アパートの目処がつけば、全て進み始めると思います。
住所探しが最大の関門と書きましたが、手順上まず日本を出る前にやっておかないといけないことは、戸籍謄本関係です。
アパート探し以外に出発前に最低限行っておかないといけないことは
① 戸籍謄本を取得
② 謄本を日本国内の外務省に持っていき公的な認証(アポスティーユ)をつける
この2つだけです。
オランダに到着した際には最初に大使館にこの資料を提出します。
アパートと戸籍謄本に加えて
・市役所(可能ならKVKも)の予約(予約待ちに2ヶ月以上かかることも多く、絶対に出発のかなり前に予約した方がいい)
・移民局に提出する登録フォーム記入
・ビジネスプラン
・日本の口座情報の取得
を終えておくことも非常に重要で、こちらは後ほど説明していきます。
ここでは戸籍謄本の話をします。
勿論最終的に戸籍謄本は英訳されることになるのですが、
戸籍謄本の英訳は2通りの方法があり、
オランダの日本大使館で行う方法と、別に英訳を作る方法があります。
僕の場合は、ビザ申請時に調べていた情報に間違った情報なども混ざっていて、正しい方法を理解しておらず、自分で戸籍謄本を英訳した上に、更にオランダ大使館でも英訳を作ってもらったため、二度手間で同じことをやってしまいました。
実際は、日本語の戸籍謄本にアポスティーユがつけたものをオランダ到着後に日本大使館に持って行くと、英語の証明書を発行してくれます。
ですので、ビザ申請については、自分で英訳を作ったり誰かに依頼したりする必要はなく、大使館に行く方が遥かに楽なのですが、
オランダのビザ取得ではオランダの日本大使館が英訳を作ってくれますが、国によっては英訳を用意しなければいけないこともあるようなので、参考までに戸籍謄本の英訳を作る流れを記載しておきます。
……
僕はビザに必要な書類がよく分からず、日本で戸籍謄本を取得してから、自分で戸籍謄本を英訳しました。
英訳を自分で作る場合は宣誓翻訳と呼ばれ、下のような宣誓書を添付して英訳をします。
戸籍謄本の英訳は以下のような感じです。
戸籍謄本全ての欄をアルファベットで入力するだけですので、始めてしまえばそこまで難しいことではありません。
内容部分だけでなく、日本語の最後の部分まで翻訳しましょう。
翻訳が終わったら、これを公証役場に持って行って認証してもらいます。
これが少し面倒な仕組みになっていて、まず各地域の公証役場という場所に行って認証をもらい、更にそれを持って東京または大阪にある外務省に行き、そこで最終的なアポスティーユという認証をもらいます。
ですが、最近は特定の都道府県では公証役場に行くだけで両方の認証を貰えるワンストップサービスというシステムが導入され、
外務省に行く必要がなくなり、これでアポスティーユ取得はかなり便利になりました。
ですが、最初に書いたように、こちらの方法で自分で英訳を作るのは大変ですし、何よりオランダの日本大使館がやってくれますので、そちらで行うことをお勧めします。
その場合は、戸籍謄本を取得し、東京か大阪の外務省でアポスティーユを取得するのみです。
海外移住のために日本でするのはそれだけ!かなり楽です。
日本で英訳を作っても作らなくても、オランダに着いてからやることは大きく変わりません。
オランダに到着したらすぐ行うのが、ハーグにある在オランダ日本大使館に行ってアポスティーユをつけた戸籍謄本を英訳family register certificateを作成してもらうことです。
日本大使館はハーグ駅からトラムで少し行ったところにあります。
オランダの日本大使館のホームページに必要書類が記載されています。
こちらの1番上、身分事項に関する証明、を取得します↓
申請から交付まで概ね1週間かかります。
郵送での申請も可能ですので、出発前に前もって送付して、到着したら受け取るだけにしておくことも可能です。
僕の場合はビザ取得を手伝ってくれた方が先に郵送してくれたため、現地に到着した翌日に受け取りに行くだけで済みました。
ハーグが遠い方や急ぐ方は郵送申請をしましょう。
申請をしてから1週間後に受け取りに行きます。
そして、大使館の認証のついた英訳謄本を受け取ったら、その次に行うのは、その足でそのまま同じくハーグ駅の目の前にあるオランダ外務省に行き、
今度はオランダ側のリーガリゼーション(オランダの認証)をもらいます。
ビザ申請には日本オランダ双方の認証が必要です。
まず、この書類が非常に重要になります。
オランダ外務省では、午前中11時頃までに行けば1時間程度で即日で認証をもらえます。
そのため朝イチで日本大使館に行って謄本の英訳をピックアップして、そのまま外務省で認証をもらうスケジュールをお勧めします。
戸籍謄本は移民局、そして市役所に提出する必要があるので、多めに2、3部作っておくといいです。
オランダ外務省での認証が終わると、以下のように英訳資料には日本側、オランダ側双方の認証が揃います。
この2つの認証が揃っていることが非常に重要で、片方しか無い場合は当然申請は受け付けられません。
さて、ここまででが最初の大きな関門です。
ここまで終えればビザ取得は大分見えてきます。
特に日本出発前にアパート探しや申請フォーム、ビジネスプランの準備が終わっていれば、かなりいい調子です。
ですが、まだ細かい手続きはたくさんあるので、ここで手を休めず、一気に手続きを終えてしまいしょう。
ここから先のステップは後編で説明していきます!!
後編に続く…
著者:市川誠一郎
開成東大卒からフリーターになり25歳初心者でテニスを始めたケイズハウス所属プロテニス選手。
2020年より日本を離れオランダで長期ビザ取得。
ヨーロッパを拠点に生活、海外ツアー転戦。
2023年39歳で初めて世界ランキング獲得。
テレビ朝日「激レアさんを連れてきました」出演
文春オンライン、日刊スポーツなどメディア多数掲載
大学在学時はヒッチハイク野宿で世界放浪、
K’s house Tokyoでアルバイト