言語切り替え

格調高きイギリスのテニス文化

海外

こんにちは。ケイズハウス所属テニス選手の市川誠一郎です。

今回は今年の夏のイギリス生活の続き。
イギリスのテニスといえば、天然芝のコートです!!

テニスをしたことのない人は知らないかもしれませんが、天然芝のコートはとても希少です。テニスコートはバウンドが変わってしまうと全く使えないので、天然芝のコートをプレーできる状態を保つのがとても大変なのは想像に難くないでしょう。

日本にはたったの一ヶ所しか天然芝のテニスコートはなく、天然芝のコートでプレーすることはテニスをする多くの人にとっての憧れの一つです。

天然芝は傷みやすく、地面を平らにするのは勿論、毎日水をやり、芝を刈りそろえ、プレーできる芝の状態を保つには管理がとても大変なのは想像に難くないでしょう。プレーできるシーズンも限られています。

世界の芝のコートの大多数はイギリスにあると思いますが、テニス発祥の国とも言われるイギリスでもグラスコートがあるのは由緒正しいクラブに限られています。

イギリス人でもグラスコートでプレーしたことがない選手は沢山います。

僕はテニスを始めて15年、今年の夏初めて天然芝のコートでプレーしました!

青々と広がる芝のコートはそれだけで美しく、それは気持ちのいい場所でした!

テニスの聖地ウィンブルドン

そんな天然芝のイギリスのテニスを象徴しているのが、テニスの最高峰の大会ウィンブルドン。

今回の滞在では初めてウィンブルドンに行ってきました。

全英オープン(ウィンブルドン)はテニスの四大大会、グランドスラムの一つ。

僕は全仏オープン(ローランギャロス)には行ったことがありましたが、ウィンブルドンは他のどの大会にもない格調の高さ、品格があります。

電車に乗って会場に向かっていると、ウィンブルドン駅に近づくにつれて、襟つきの服やキレイにドレスアップした乗客が増えてきます。

勿論通常の席にドレスコードがあるわけではなく、カジュアルな格好の方も沢山いますが、それでも一応ポロシャツなどを着ている人は多いです。

こんなことは他のテニス大会では絶対にありません。イギリスではテニスは格調高いスポーツなのです。

 

駅は会場から徒歩30分くらいありますが、既に朝から大勢の人で賑わっています。

シャトルやタクシーで向かう人もいますが、僕は歩いて行きました。

学生服の高校生が沢山歩いています。

坂を登るとウィンブルドンのメインストリート。

カフェが立ち並び、みんなオープンテラスでイギリスの涼しく清々しい夏を楽しんでいます。

ヨーロッパ人はオープンテラスが大好き!

どのお店も緑と紫のウィンブルドンカラー。

街全体がウィンブルドンカラーです。

どのお店のショーウィンドウもウィンブルドンのペイントがあしらわれています。

テニスのイメージでこういう絵が出てくるのはイギリスだけ。

イギリスでテニスは貴族の格調高い文化なのです。

更に15分くらい歩くとウィンブルドンの会場。

オールイングランドクラブが見えてきます。

ここはスタジアムではなく、イギリスで最も由緒ある会員制テニスクラブ。

こんなに広大な敷地、スタジアムコートがありながら、普段は会員制のテニスクラブとして会員さんがプレーしています。

勿論会員になるのは至難で、会員から紹介された由緒正しい家の人達だけが会員になれます。

毎日何万人も訪れる世界最高峰の大会の試合会場が駅から30分も離れたこの高級住宅街にあるのも、すぐ真横に駅を作ったりしないのもこのためです。

いくら規模が大きくなっても、試合会場は変わりません。

それはウィンブルドンがこのイギリスの格調高いテニス文化に根ざしているからです。

このテニスクラブで始まった大会の規模が大きくなって、世界一の大会になているのです。

こちらは一般ではない会員さんなどの入り口。

みんな素敵な格好をしていたり、入り口から雰囲気があるのが感じられます。

会場に入場すると、まともに歩けないほどの人で溢れていました。

コートに入るのもかなり列に並ぶ必要がありますが、ひとたび入ってしまえば、

ヨーロッパのコートは観客席が非常に近く、選手の表情まではっきり見えます。

ウィンブルドンの名物スポットと呼ばれるthe hill。

みんなリラックスしてセンターコートの映像を見ています。

センターコートに入るには別のチケットが必要で、これは相当高い上に、入手もかなり困難です。

僕は幸運にも出場選手に何人か友達がおり、聖地のセンターコートで現世界1位のジョコビッチ選手を見れたのは大きな刺激になりました。

一緒に練習していた選手達が今ウィンブルドンでプレーしているのも特別な感覚です。自分も追いつけるように頑張ります!

イギリスの格式高い文化

ところで、イギリスと言えば、爵位制度が今も残り、
他のヨーロッパ諸国には見られない由緒正しい貴族文化が存在し、
そうした貴族文化の格調高さには目を見張るものがあります。

貴族のスポーツであるテニス文化もその一つで、イギリスのテニスには先に書いたような他の国のテニスにはない格式高い文化が残っています。
ウィンブルドンの試合会場であるオールイングランドクラブのように王族や貴族が集まるような由緒正しい超高級テニスクラブが存在し、
僕は幸運にも知り合いに会員がいて、そうしたクラブに何度か招待してもらうことがありました。

僕が行ったのはクイーンズクラブ。オールイングランドクラブと双璧をなす超高級クラブです。

会員になるには複数人の会員からの推薦に加え、5年以上のウェイティングリストがあると言われていましたが、
今では新たに会員を受け付けることすら無くなってしまった程。
最近ではフットボールチーム、チェルシーのオーナーが大金を用意して会員にオファーしたのを拒否した、ということもあったほど、会員になるのが難しい場所です。

勿論ドレスコードが存在し、服は白のみです。

同じテニスクラブとは思えない高級感、格調高さで、
クラブハウスの美しさは段違いでした。

クラブハウスからの眺め

入り口を入っていくと

 

メンバーたちがカフェでくつろいでいます。

バーの値段は普通で、コート代もそこまで高くはありません。

会員しか入れない場所なので、会員になれば至って普通です。

ゲストも迎えてくれるし、中に入ればとてもリラックスした雰囲気。が、写っている女性はテレビのキャスター、後ろ二人は友達。大富豪の御曹司です!

クラブハウスの中はとても広く、様々な部屋が続いています。どの部屋もとても素敵。

 

ロッカールームもテニスクラブとは思えない素敵なもので、クロークのようにスタッフが常駐しています。

サウナがあり、初めて会う会員さん達が会話をしていました。このクラブ内でまたそうした家の出の人達のネットワークが広がっていく社交の場になっています。

 

コートも素晴らしい天然芝コートを始め、
完璧に整えられたコートが並び、圧巻の風景。
周りを煉瓦造りの建物に囲まれ、外からは中を覗くことができません。

 

イギリス独自の文化を覗き見る貴重な経験をさせていただきました。

 

著者:市川誠一郎

開成東大卒からフリーターになり25歳初心者でテニスを始めたケイズハウス所属プロテニス選手。

2020年より日本を離れオランダで長期ビザ取得。
ヨーロッパを拠点に生活、海外ツアー転戦。
2023年39歳で初めて世界ランキング獲得。

テレビ朝日「激レアさんを連れてきました」出演
文春オンライン、日刊スポーツなどメディア多数掲載

大学在学時はヒッチハイク野宿で世界放浪、
K’s house Tokyoでアルバイト